◎甲状腺機能亢進症(バセドウ病)つづき
外科的治療は、甲状腺の一部を手術によって切除し、甲状腺ホルモン濃度を正常化するものです。まず内科的治療で甲状腺機能を正常化してから手術を行います。大部分は術後すぐに機能が正常化しますが、再発や機能低下症も起こることがあります。一般には甲状腺の腫れが非常に大きい、副作用で抗甲状腺薬が使用できない、あるいは抗甲状腺薬が効きにくい場合には手術治療がすすめられます。
放射線治療は放射性ヨードを服用する方法です。ヨードは甲状腺にはよく取り込まれるので、その放射線によって甲状腺組織を破壊します。服用2〜3週間ほどで甲状腺ホルモンが低下します。放射線を使用しますが、ガンや白血病などの危険はありません。多くの場合、治療は外来でおこなわれ、入院の必要はありません。ただし服用して数年してから甲状腺機能低下症に移行することがかなりの頻度であります。低下症になった場合には甲状腺ホルモンを一生服用する必要があります。
三つの治療法は一長一短があり、病状や本人の希望、医療施設の状況などにより治療法を決定します。妊娠中の人に放射線治療はしません。
日常生活の注意としては、甲状腺機能が亢進している間は過労やストレスを避けることです。喫煙や飲酒も勧められません。喫煙は目の症状が悪化することが報告されています。機能が正常化したら日常生活に制限はありませんが、多量のヨードは抗甲状腺薬の効果を抑えるので、こんぶなどヨードを多量に含む食物の摂取は控えるようにします。