◎急性合併症、糖尿病性昏睡
糖尿病性合併症の中に糖尿病のいちじるしい代謝異常や、糖尿病の治療に伴って起こる急性合併症があります。ただちに生命の危険につながる病態です。
○糖尿病性ケトアシドーシス
インスリンのいちじるしい欠乏によって引き起こされる重大な代謝異常で、いちじるしい高血糖、それに伴う多尿、強い口渇感、脱水、強い倦怠感、ケトン体の増加、ケトーシスに伴うアシドーシスが特徴です。重篤になれば意識障害が進行し、昏睡におちいる場合があります。
誘因は、感染症の合併、胃腸障害、インスリン注射の大幅な減量や中断、暴飲、暴食などであり、1型糖尿病に多くみられます。1型糖尿病に多くみられます。1型糖尿病がケトアシドーシスで発症することがあり、そのようなケースでは、診断が遅れる危険性があり、特に注意すべきです。
1型糖尿病で発熱や腹痛、嘔吐、食欲不振などがみられた場合、不用意にインスリン注射を減量したり、中止したりしてはいけません。ケトアシドーシスに伴う腹部症状が急性腹症のような形で現れ、虫垂炎や腹膜炎などと誤診される場合があります。
また、2型糖尿病であっても、暴飲暴食や糖質を多く含む清涼飲料水のがぶ飲みによっていいちじるしい高血糖とケトーシスを起こすことがあり特に清涼飲料水ケトーシスと呼ばれ、注目されています。これは若い肥満男性の2型糖尿病のことが多く、このような病態の場合もインスリン注射が不可欠です。
ケトアシドーシスの治療は、インスリンの投与(多くは速効型インスリンの少量静脈内持続注入療法)による高血糖、ケトーシスの是正と十分な輸液(多くは生理食塩水の点滴)による脱水と電解質異常の是正です。