血液中の尿酸値が高い場合を高尿酸血症といいますが、この状態が長く続いたために急性関節炎を起こしたものを痛風といいます。
○原因
尿酸とは核酸の一部であるプリン体の最終分解物ですが、血液中には一定量存在し、余分の尿酸は尿や便から排泄されます。もしもプリン体の先天的な代謝異常があったり、プリン体を多く含む食事をとりすぎたりして、尿酸が過剰につくられると血液中の尿酸値が上がります。また尿中へ排泄する腎臓の働きが悪い場合も高尿酸血症がおこります。高尿酸血症が長期間続き、関節内に蓄積した尿酸塩が、何らかの原因で関節空内に脱落したときに、関節炎を起こして激痛を発生します。これが痛風発作です。発作は薬を使い始めて血中の尿酸値が急激に低下したときにも誘発されやすいのです。
○症状
痛風は中年の男性におおい病気で、女性ではまれです。何故男性に多いのかその理由はまだわかりません。また最近では、発症年齢が低年齢化して30代で最も多くなりました。恐らく食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加、肥満などが影響しているものと思われます。痛風発作はある日突然激しい関節の痛みを起こします。痛みの出やすい部位は足の親指の付け根の関節です。また足首の関節や膝の関節が痛むこともあります。痛みの部位は赤くはれて熱をもちます。同部位には尿酸の結晶がたまり、コブのようなもり上がり我で着ますが、これを痛風結節といいます。血液中の尿酸値が男性では7.0ミリグラム/デシリットル、女性は6.0ミリグラム/デシリットルをこえていれば、高尿酸血症の診断がつきます。尿酸値が8.0ミリグラム/デシリットルをこえたら薬物治療を開始します。治療の目標値は6.0ミリグラム/デシリットル以下です。
○治療
1痛風発作の治療時には非ステロイド抗炎症薬やコルヒチンという薬を服用します。2高尿酸血症は痛みが治まったら、血液中の尿酸値を正常域に下げるために、尿酸を尿中へ排泄させる薬や、尿酸の生合成を抑える薬などを使用されます。また尿酸がたまって尿路結石をつくらないように、水分摂取量を増やして、一日の尿量が二リットル以上になるように心がけます。また、尿がアルカリ性を保って尿酸を中和するように、酸性尿改善薬を使用されます。
高尿酸血症を放置しますと、痛風発作を繰り返したり、関節や腎臓に尿酸の結晶がたまっていきます。ひどくなると関節は変形し、破壊されます。腎臓では結石ができ、腎臓の働きが徐々に低下します。また高尿酸血症や痛風をもつ人では肥満、高脂血症、高血圧、糖代謝異常んなどを高頻度に合併し、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなります。
プリン体の含まれる量が多い食品、肉類などを避け、アルコールは特にビールを制限する必要があります。また適度の運動をおこない、肥満にならないように注意が必要です。