本来、生体に役立つはずの免疫反応が全身あるいは体の局所に障害を与えるとき、アレルギーといいます。アレルギーの原因となる抗原物質がアレルゲンです。アレルギーは多くの場合アレルゲンに繰り返しさらされてアレルゲンと反応する抗体やリンパ球が産生されているときに、再び同じアレルゲンにさらされて強い反応がおこりアレルギー反応が発症します。
◎アレルギーの型
○1型(アナフラキシー型反応)
アレルゲンに反応してIgE抗体を産生しやすい遺伝子的体質をアトピー性素因といいます。両親がアトピー性素因を持っていると、子供もそうである可能性が高くなります。アレルゲンに反応して産生されたIgEはマスト(肥満)細胞の表面に結合しています。このような状態でアレルゲンにさらされると、IgEとアレルゲンが結合し、マスト細胞が活性化され、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの活性物質を放出します。
活性物質の作用によって血管からの結晶の漏出、血管の拡張、粘液の分泌、気管支の収縮などを起こし、じんましん、鼻水、喀痰、呼吸困難、血圧低下などの症状を引き起こします。全身反応を伴う激しいものがアナフラキシーで、これによる血圧低下をアナフラキシーショックといいます。アトピー性気管支ぜんそく、じんましん、花粉症、ハチアレルギー、ラテックスアレルギー、ペニシリンなどの薬剤によるショックなどがこの型に入ります。この型のアレルギーで起こる病気がアトピー性疾患です。
○2型(細胞障害型反応)
細胞、組織に結合した抗原と抗体が反応し、その結果マクロファージによるドン食、補体による細胞障害などにより組織細胞が傷害される反応です。ペニシリン系の抗生物質による溶血性貧血などはこの型による反応です。自己の血球に対する抗体による自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などの自己免疫性疾患もこの型の反応による病気です。
○3型(免疫複合体型反応)
血液中で抗原と抗体が結合し免疫複合体が形成され、補体を活性化して血管や近傍の細胞を傷害する反応です。薬剤による溶血性貧血、ジフテリア抗血清による腎障害、ウイルス感染後の紫斑やじんましん、カビなどに対する過敏性肺炎などは主にこの型のアレルギー反応です。自己免疫疾患のうち全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性リウマチなどもこの型の反応によっておこる病気です。
○4型(細胞免疫型反応)
抗原と結合した細胞、組織がTリンパ球(細胞障害性Tリンパ球、遅延型過敏反応性Tリンパ球)によって傷害される反応です。化粧品などによる接触性皮膚炎や多くの薬疹、薬アレルギーによる肝障害はこの型の反応です。アトピー性気管支喘息などは、1型反応だけで起きるのではなく、4型反応によって白血球のひとつである好酸球が動員活性化され、その作用などで気管支に炎症が起きて過敏になっていて、容易に発作が起きると考えられています。