◎アレルゲンの侵入経路と症状
アレルゲンは体へ侵入する経路によって吸入アレルゲン、経口アレルゲン、接触性アレルゲンなどに分けられます。薬剤ではそのほかに血管内、筋肉内などへの投与があります。
◎吸入アレルゲン
吸入アレルゲンには室内塵(ハウスダスト)、ネコ、小鳥などの動物の毛、ふけ、羽、スギ、カモガヤやブタクサなどの花粉、カビなどがあります。
○ダニ
アトピー性気管支喘息や通年性のアレルギー性鼻炎の最も重要な原因吸入アレルゲンは室内のほこりの中に生息するチリダニ科のヒョウヒダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)の糞や死骸です。接触によってアトピー性皮膚炎の悪化の原因ともなります。
ツメダニなど人を刺すダニとは異なり、ヒョウヒダニはふけ、あか、食物のカスなどをえさとするダニで、食卓のまわり、じゅうたん、寝具、ソファー、綿ほこりの中などに生息しています。そのため室内塵ダニともいわれます。温暖で多湿の環境を好み、夏に多く発生します。
最近谷によるアレルギー疾患が増えているのは、家屋の密閉性、保温性が高まり、チリダニが繁殖しやすくなったのが大きな原因といわれています。アトピー性ぜんそく患者の八割以上がチリダニのアレルゲンに対するIgE抗体をもっているといわれています。空中に舞い上がったダニの死骸、糞がアレルゲンとなりますが、最も多くダニにさらされるのは、就寝中にダニの発生源である布団から至近距離でダニアレルゲンを吸入するときです。ダニアレルゲンへの接触を減らすには、室内の通気を良くする、じゅうたんなど敷物を敷かない、布団を乾燥させるなどの方法でダニの繁殖を抑える、アレルゲンを撒き散らさない型の掃除機で布団、床のダニ抗原を吸引除去するなどの方法があります。また、高密度繊維性のふとんカバーでダニアレルゲンを通過させない方法も有効です。
○シックハウス(シックスクール)症候群
最近、家屋や家具から放出される化学物質によって目、鼻、咽頭の刺激症状、皮膚の紅班、湿疹、じんましん、疲れやすい、頭痛、などの症状が起きるシックハウス症候群(原因が学校や幼稚園の建材や建具である場合は、シックスクール症候群という)が問題となっています。その大部分はアレルギーではなく、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、シロアリ駆除剤、などによる直接的な刺激や中毒が原因と考えられています。