○卵巣では
胎児(女性)のころ、約700万個の卵子を持っていますが、新生児では200万個に減少し、思春期にはさらに20〜30万個に減少します。思春期になって初潮のころからホルモンが分泌され、卵子を取り囲む卵胞が毎月たくさん発育しますが、一個だけ成熟し、ほかは途中で退化していきます。その成熟した卵胞から卵子が卵巣の外へ飛び出すのが排卵です。排卵した卵子はすぐそばの卵管に卵管采によって取り囲まれて卵管内を移送されますが、受精能力は排卵後数時間〜24時間といわれています。
子宮では、卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用によって、子宮内膜細胞が増殖して内膜が厚くなります。そして、排卵後の卵胞が変化した黄体から分泌される黄体ホルモンの作用によって、受精卵の着床に都合の良いように分泌期内膜に変化していきます。
○精子のふるいわけ
男性の一回の射精で2〜3億個の精子が膣内に送り出されますが、早いものでは五分後には子宮内を上昇し卵管内に到達します。しかし、膣内は強い酸性なので、その半分以上は死んでしまい、受精の場である卵管膨大部に到達するのは200個以下で、受精するのはたった一個です。一般的には受精能力があるのは射精後48時間程度です。
排卵の時期には、子宮頚管(子宮の入り口)内の粘膜が精子が通過しやすいように、ねばりっけのあるものから水分の多いものに変化しているのに加え、精子の運動を助ける成分も含んでおり、精子の子宮膣内での上昇をたすけます。
○受精
卵管膨大部までにたどり着いた数多くの精子は卵子の表面に集まりますが、卵子の周囲にある透明帯に一個の精子の頭部が接触するとただちにその精子は透明帯を通過し中に入り込みます。その瞬間透明帯は変化して他の精子が侵入するのを防ぎます。卵の中に進入した精子頭部の核と卵子の核が融合し受精が成立します。この事典で男女の性別は決定するわけです。