○臍帯
胎児のへそと胎盤をつなぐひも状の組織で、へその緒です。この中に二本の動脈と一本の静脈の計三本の血管が通っており、周囲はゼラチン様の物質でかこまれて保護されています。血流がとだえたり減少すると胎児の状態は危険となるので、それを防ぐためと考えられています。
分娩後は胎児側2〜3センチのところをクリップでとめ切断します。数日して乾燥し干からびて自然に取れます。これをへその緒として保存する習慣が日本ではあります。最近では個人の特定のためのDNA鑑定に使うこともあるようです。昔は煎じ薬にして大病のときに飲むという迷信があったための風習が今でも残っています。
○羊水
胎児の周囲には羊水と呼ばれる水があり、妊娠七ヶ月で700ミリリットルと最多となり、妊娠末期には約500ミリリットルほどに減少します。羊水の役割は胎児を衝撃や外気温から守り、四肢を自由に動かし筋肉を発達させることです。羊水は卵膜から産生されたり胎児の尿もまじっています。羊水中には胎児のうぶげ、皮膚、皮脂が混入しているため、採取することにより胎児の情報を得ることができます。妊娠中の羊水検査とよばれるもので、染色体異常や、代謝異常などの疾患を診断することが可能です。また胎児の肺成熟度を知るためにも使われます。
分娩児には卵膜に包まれた羊水が子宮口を押し広げる役割を果たし、分娩直前には破水によって流れ出る羊水が潤滑液となって胎児が骨盤内を下降するのを助けます。
○卵膜
胎児、羊水の入っている幕で、子宮内側との境目を作る膜で胎盤の胎児側のおおっています。一枚の膜ですが三層構造で、胎児を細菌などから守っています。卵膜が破れることを破水といい、破水後長時間経過すると胎児に細菌感染が及びやすくなります。