◎妊娠初期に起こる病気
○流産
妊娠22週未満で起きる妊娠の中断を指し、ほとんどは妊娠初期でおこります。
症状
ほとんどが出血で始まりますが、妊娠初期では、症状のないまま超音波検査で胎児が育っていないことがわかることも多くあります。次に下腹部痛ですが、張った感じや鈍痛などから強い傷みになって出血が増えて塊が出てきます。かたまりの中に粘膜や胎児の一部が含まれていることがあります。
妊娠中期以降では、分娩と同じ様な経過をたどり、出血からお腹が張って規則的な陣痛となって破水するか、もしくは最初からは水で始まることもあります。
妊娠中、少量でも出血と下腹部痛が起きたらまず流産を疑いますので、異常が感じられたら早目の診察を受けるようにしましょう。
原因
いま妊娠の約15パーセントは流産になるといわれ、母体の年齢とともに増加し40歳以上では25パーセントとなっています。超音波で胎児の心拍が確認できないことでわかる初期の流産は、初めから発育できない受精卵で、途中で成長を止めてしまった自然淘汰とされています。両親のせいではなく、染色体異常など胎児の異常がほとんどです。いったん胎児心拍が確認されてからの、妊娠12週くらいまでの流産も胎児の染色体異常などの胎児側の原因が多くなります。
母体側の原因としては、子宮の異常(奇形、筋腫、頸管無力症など)、性感染症などの感染症、膠原病などの母体の病気が上げられます。
治療
少量の出血や軽い下腹部痛の状態を「切迫流産」といい、安静、子宮収縮抑制剤などで治療できる場合もありますが、胎児の異常のために起きる流産はとめることはできません。
胎児心拍数は通常妊娠6週くらいから超音波で確認できるようになります。それより前には胎児を入れる羊水の入った袋の成長を目安に妊娠の経過を見ていくのです。胎児の心拍が確認できれば、流産する可能性はかなり低くなります。このとき、妊娠週数が正しいものであることが必要で、特に月経不順の人は最終月経から推定すると間違ってしまうことがあります。そういうことから週一回程度で何回か超音波検査が繰り返されます。
流産であるとの診断がされたら、子宮内用を外に出し、なかをきれいにする手術が必要になります。出血や下腹部痛という自覚症状のない流産も多く、納得しにくい場合もよくあるようです。長くそのままにしておくと、感染をおこすなどの可能性が高くなります。
○習慣流産(不育症)
三回以上流産すると習慣流産といいます。原因はいろいろあるので、詳しい検査が必要です。その中で異常な自己抗体が存在し、血栓が胎盤の中にできるため流産がおこる場合は、アスピリンやステロイドによって治療できることがわかっています。また夫婦間の血液不適合には、夫のリンパ球を妻に注射することで妊娠が可能になっています。夫婦の染色体の異常には妊娠後に胎児の染色体検査がおこなわれています。