◎妊娠初期に起こる病気
○子宮外妊娠
受精卵が子宮内以外の妊娠が継続できない場所に着床してしまう異常です。ほとんどは卵管におこることが多いのですが、卵管は細い管のため胎児の発育につれてふくらみ、破裂してしまいます。
症状
妊娠の徴候に伴い、少量の出血、下腹部痛など流産と同じような症状が出ますが、何もないこともあります。最近では妊娠初期に診断でき、破裂前に治療(手術)できることが多くなりました。破裂した場合は、急な下腹部激痛とともに腹腔内に大出血し、ショック状態となり、輸血しながら緊急開腹手術をしないと生命にかかわります。
原因
卵管内に癒着がある、卵管が細いなどのために受精卵が途中で止まって着床してしまうためにおこります。最近ではクラミジア感染などの性感染症による卵管炎の後遺症が多く、その他、人工妊娠中絶後の炎症なども上げられます。卵管の病変は左右両側に起こることが多いので、一度子宮外妊娠になった人は繰り返しやすくなる傾向があります。
治療
破裂前なら腹腔鏡で、卵管切除がおこなわれます。小さい病変では、卵管切開や抗がん剤の注射も試されています。
○胞状奇胎
本来は胎盤になるはずの絨毛が異常増殖して、イクラのような粒がたくさん子宮の中につまった状態で、胎児はいません。
症状は妊娠の徴候と断続的な出血やお腹のはりですが、超音波検査で診断されます。受精卵の異常ですが原因がはっきりしていません。
胞状奇胎と診断されたら子宮内容を外へ出すための手術がおこなわれます。一週間後にもう一度手術をして完全に取り除いたことを確認します。胎状奇胎は5〜10パーセント程度、子宮内に残った奇胎が「絨毛がん」に変化するからです。そのため胞状奇胎のあとは、最低一年は、ホルモンチを測定したり基礎体温を記録したり、通院する必要があります。その間は避妊が必要ですし、胸部のレントゲンや抗がん剤による治療がおこなわれることもあります。
40歳以上の場合や子供が2〜3にいる人の場合は絨毛がんを予防するために子宮全摘がすすめられます。