○多胎(ふたごなど)
双子の確率は、自然では100人に一人くらいですが、最近では不妊治療のため最も多く、さらに三つ子以上も増えています。双子は、一卵性と二卵性があり、一卵性は一個の受精卵が二個に分かれて成長したもので、同性で顔つきも似ています。二卵性は同時に二個の卵子が排卵、それぞれ受精して発育したもので、兄弟姉妹が同じときに生まれるようなものです。不妊治療で排卵誘発剤を使ったり、体外受精で受精卵を二つ以上子宮に戻してできる多胎は卵子は別々(二卵性以上)になるのです。
多胎は本来一人用の子宮の中で何人も育つわけですから、母体の負担は大変大きくなります。
双子では妊娠30週くらいで生みつきくらいのお腹の大きさになってしまうので、早産になる場合がしばしばみられます。そのため産休も産前14週間取れるようになっていますが、やはり早産しやすいので安静が大変重要です。
また妊娠中毒症にもなりやすいことが知られています。胎児の発育に差がないと順調に経過しますが、アンバランスが生じると、一時的に小さい胎児が弱ってしまうことがあり入院して検査する必要がでてきます。
分娩は双子の場合、通常に分娩できる事も多いのですが、三つ子以上は帝王切開になることが多いでしょう。分娩時の出血も多くなりやすいですし、妊娠中からの疲労も残りますので、育児協力者は必ず必要になってきます。
○前置胎盤
胎盤は正常では、子宮口からかなり離れた位置についていますが、子宮口の近く、場合によっては子宮口をおおうようについている胎盤を「前置胎盤」といいます。分娩が始まって子宮口が開いてくると、胎盤との間にずれが生じ胎盤がはがれて大出血を引き起こす可能性があります。そのために大出血になる前に帝王切開で分娩を終了させる必要があります。
また胎盤の縁が子宮口にかかるくらいの軽いものは、通常の分娩ができる事もあります。
胎盤と子宮口周辺のずれは、本格的な陣痛でなくても起こるので、突然出血することがあります。現在は超音波検査で胎盤の位置もよく調べられますので、前置胎盤はあらかじめ診断がつきます、お腹がはるようなことは避けるとか、出血があったらすぐ入院することなどの注意は必要です。
原因が不明なことも少なくないのですが、受精卵が子宮に着床する部位が通常より下方であったことが考えられ、子宮筋腫や子宮奇形がその原因となり、また経産婦に多いことが知られています。