◎遺伝と遺伝病
○遺伝形式
遺伝子は、常染色体上には同じものが二本ずつあります。両親のどちらかから病気の遺伝を受け継いだ場合、いっぽうが正常でも病気になる、つまり子供が親と同じ病気になる場合は、常染色体優性遺伝病です。子供には二人に一人の割合で病気になります。
父、母両方から異常な遺伝子を受け継ぎ、両方の遺伝子が異常になったときにのみ発症するものを常染色体劣性遺伝病といいます。この場合、両親は保因者であることが多く、子供は二十五パーセントの発症危険率であり、五十パーセントの保因者危険率があります。
X染色体の遺伝子に異常があるX連鎖性劣性遺伝病では、男児は五十パーセントの危険率で発症し、女児は五十パーセントの危険率で保因者になります。
また、両親には遺伝子異常がなく、子供に伝わるとき、突然変異として異常が生じることもあります。
常染色体優性遺伝病・・・神経線維腫症、結節性硬化症、軟骨異常栄養症、、マルファン症候群、家族性多発性外骨腫、筋強直性ジストロフィーなど。
常染色体劣性遺伝病・・・フェニルケトン尿症などの先天代謝異常、福山型先天性筋ジストロフィー、先天性副腎皮質過形成など。
X連鎖性劣性遺伝・・・デュシャンヌ型筋ジストロフィー、血友病、メンケス病など。
○予防
血族結婚は、劣性遺伝病が発病する危険がありますので、避けたほうがいいでしょう。フェニルケトン尿症のように、病気の発見が早くて治療が早くはじめられれば、知的障害のような重大な障害を防げる病気もありますし、出生前診断の可能な病気もあります。遺伝性疾患の発病の危険性や対応法について、遺伝相談がありますので、専門医とよく相談するようにしましょう。