◎遺伝と遺伝病
○ダウン症
二十一番目の染色体が一本多くなり、三本あるために起こる病気です。染色体の数は四十七本になります。ダウン症は、新生児700〜1000人に一人の割合で生まれています。
症状
目じりが上がって、目の内側にひだがあり、両目の間隔があいていて、鼻が低く、耳たぶが小さく、耳が下についています。乳児期は、筋肉の緊張が弱いためにやわらかく、哺乳が弱く、体重増加不良で、発達も遅れますが、その程度は軽度から重度におよびます。約半数に先天性の心臓の病気があり、消化管の奇形や白血病なども合併することがあります。
予防 治療
ダウン症は、母親の出産時の年齢が上がるほど増加するので注意が必要です。根本的な治療法はありません。心臓の奇形に対する対応、感染に対する抵抗力が弱く肺炎を起こしやすいので、感染時にはやは目に対応するなど合併症への対応が重要です。
また、頸椎の上部で亜脱臼を起こしやすく、脊髄が圧迫されると四肢麻痺を起こし可能性があるので、首に衝撃を与えないように注意します。ダウン症の子供は教育効果が期待でき、早期療育による精神運動発達の促進が重要です。年齢に応じた療育プランを考えると良いでしょう。
◎ターナー症候群
女性では染色体が一本しかないために起こる病気です。染色体数は45本になります。発症は4000〜8000人に一人の割合です。
症状
幼児期〜学童にかけては、著明な低身長が主症状です。やがて無月経、乳腺発育不良などの二次性不全があきらかとなります。肘が外側に曲がっている(外反肘)、首の皮膚のたるみ、先天性心疾患などを合併することもありますが、知能は正常です。
治療
低身長に成長ホルモン、二次性不全に女性ホルモン療法などがおこなわれます。治療が長期にわたることになります。