◎末梢神経の損傷
○腕神経叢まひ
腕を動かす神経は首のところで脊髄からでて腕に伸びています。骨盤位分娩や巨大児の分娩で、首の片側が強く伸ばされたり圧迫されたりして神経が損傷し片側の腕が動かせない状態が腕神経叢まひです。上腕型(腕は動かせないが手の関節、指は動く)と前腕型(腕は動くが手指は動かない)があり、上腕型は横隔膜神経まひを合併することがありますが、前腕型より治りやすいようです。
○横隔神経まひ
横隔膜の運動を支配する神経も首のところで脊髄からでているので、麻痺を起こすことがあります。
呼吸運動は、横隔膜が上下することによっておこなわれています。横隔膜の運動がなくなり呼吸運動が制限されるため、呼吸が苦しくなります。酸素を吸わせたり、人工呼吸器を装着したりしなければならないこともあります。3〜4ヶ月たっても治らないときは、手術も考慮します(横隔膜を縫い合わせて、上がらないようにします)。
○顔面神経まひ
お産のときにほおを強く圧迫されたり、カンシ分娩の際に起こります。顔の筋肉を支配する神経のまひで、泣いたときに症状がよりあきらかになります。
障害された側の目は完全に閉じず、口角(くちびるの端)が下がります。多くは1〜2週で自然に治ります。