◎呼吸器疾患
○呼吸窮迫症候群
肺に空気が入りふくらむためには、サーファクタントという物質が必要です。サーファクタントは在胎32週以降に作られるので、それ以前の数週で生まれた未熟児では肺がふくらみにくい状態になります。生後数時間以内に呼吸数の増加や、呼吸のたびに肋骨の間や胸骨のしたがへこむ陥没呼吸が生じ、呼吸困難がしだいに増悪します。
胸部レントゲン検査で、肺に空気が十分に入っていないことがわかります。現在は、人口サーファクタントを肺内に入れる補充療法と、人工呼吸器による、呼吸管理がおこなわれており、以前より良好な治療結果が得られています。
○新生児一過性多呼吸
生後、肺の水分が吸収されるのが遅れるために起こります。仮死や帝王切開児に多く見られ、呼吸数が増加します。通常は、酸素投与のみで数日でよくなります。
○胎便吸引症候群
何らかの原因で胎児が低酸素状態になると、胎便を排泄し、さらにあえぎ呼吸によって、胎便に汚染された羊水(子宮内にあり,胎児が浮いている液体)を気管内に吸引します。この状態で出生すると、肺の水分の吸引が遅れたり、胎便そのものによって科学的肺炎を起こします。
その結果、生後間もなく強い呼吸障害を認めます。出生直後に子供の口腔内や気管内からすみやかに胎便を吸引し、呼吸障害に対しては人口サーファクタントや人工呼吸器による呼吸管理をおこないます。
○慢性肺障害
新生児期の重症な肺の病気のために、長期間肺の障害が続きます。軽症では、人工呼吸器が取れればそのまま回復します。
中等度では、人工呼吸器から離脱しても長期間酸素吸入が必要だったり、ウイルス感染による細気管支炎を反復して入退院を繰り返すこともあります。
最重症型では、人工呼吸器からの離脱が不可能です。
◎未熟児網膜症
網膜血管は在胎15週ころより発生し始め、40週ごろに完成します。発育途上の未熟児では、急激な環境の変化によって血管先端部で異常な成長や増殖を起こし、進行すると網膜はく離になります。
出生体重1300グラム以下の子供や、出生体重1800グラム以下で補助的に酸素を使った子供は、眼底検査をおこなうことがすすめられます。多くは、自然に良くなりますが、良くならない場合は、光凝固や網膜はく離に対する手術が必要になることがあります。