◎心臓と血管の病気
○動脈管開存(ボタロー管開存)
胎児期には開存している大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管は生後2〜3日で閉鎖しますが、その後も開存している病気です。
管が太ければ、多量の血液が大動脈から肺動脈に流れ、それがふたたび心臓に還流して心臓に負担がかかるので、心不全症状が出てきます。
管が細ければ症状はありませんが、感染性心内膜炎(心臓に細菌のかたまりが付着するために全身に細菌がまかれる重篤な病気)の危険性があるため、治療の対象となります。手術では動脈管を切り離しますが、心臓を止める必要がないので、比較的簡単におこなえます。また、径が四ミリ以下のものであれば、カテーテル治療が可能です。先端に小さなステンレスのコイルをつけたカテーテルという細い管を太ももの血管から入れて動脈管まで進め、コイルを挿入して管を閉塞する方法です。
○心房中隔欠損
左右に心房を隔てる心房中隔に孔があいている病気です。小児期に心不全症状を呈することはまれですが、孔が大きい場合には中年以降になると肺高血圧と心筋の繊維化により、心不全や不整脈が起こってきます。そのため、孔が大きい場合には通常は就学前に手術をおこないます。
手術は人工心肺を用いて心臓を停止させた状態で心臓を切り開き、当て布(自己心膜やウマ心膜)でおおい、縫い合わせて孔をふさぐか、または直接孔を縫い合わせます。孔が小さければ放置してかまいませんし、また小さいものは自然閉鎖することもあります。